秋の管理職研修の企画時期ですね。グループワークを入れる会社は多いのですが、同じグループワークでも「ただ話して終わる」ものと「リーダーが変わる」ものがあります。分かれ道は3つ。設計の話をします。
グループワークが「ただの雑談」で終わる本当の理由
研修後のアンケートで一番多い声は「他部署の人と話せてよかった」です。悪いことではありません。ただ、それだけで終わるなら懇親会でも足ります。原因は課題設定にあります。「理想のリーダー像について話し合ってください」——この問いでは、誰も傷つかない一般論しか出てきません。人は正解のある問いには正解を答えるからです。リーダーシップが動くのは、正解がなく、その場で判断を迫られ、結果がすぐ返ってくるときだけです。
分かれ道①——「話し合う」のではなく「やってみる」に変える
私たちが体験型を選ぶ理由はここにあります。議論のテーマを与えるのではなく、制限時間と制約のある課題をチームに渡す。すると必ず計画が崩れる瞬間が来ます。そのとき、誰が最初に声を出すか。誰が黙るか。誰が人のミスをかばうか。これは演技ではなく素の反応です。ある製造業の研修で、いつも会議で仕切っている課長が、体を使う課題では一言も発せられなかったことがありました。「自分は指示は出せるが、混乱の中で人を動かした経験がなかった」。この気づきは、議論だけでは絶対に出てきません。
分かれ道②——ふりかえりに、体験と同じだけの時間を取る
最も削られやすいのがここです。時間が押すと「まとめは各自でお願いします」となる。しかしリーダーシップが育つのは体験の最中ではなく、体験を言葉にする瞬間です。私たちは体験と同等以上の時間をふりかえりに充てます。問いはシンプルで構いません。「いま、チームで何が起きていましたか」「同じことが、あなたの職場でも起きていませんか」。この2問を重ねるだけで、参加者は自分の職場の話を始めます。講師が教えるのではなく、本人が発見する。だから月曜日の行動が変わります。
分かれ道③——「宣言」ではなく「観測」を仕込む
研修の最後に「明日から変えること」を宣言する会社は多いのですが、宣言だけでは3週間で薄れます。おすすめは、宣言とセットで「1ヶ月後に、誰が何を見て変化を判断するか」を決めておくことです。上司でも同僚でも構いません。人は見られていると行動が続きます。私たちが3カ年の伴走プログラムを設計しているのも同じ理由です。1回の研修は種まきで、育てるのは日常の観測と対話です。企画段階でここまで設計しておくと、秋の研修が来春の組織の姿を変えます。
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