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なぜ本気の人を、人は応援したくなるのか|組織開発の現場から

「うちのチーム、仲は悪くないのに、どこか他人事なんだよな」。そう感じている管理職の方は少なくないと思います。会議で本音が出ない。研修で一瞬盛り上がっても、現場に戻れば元通り。一体感や主体性は、どうすれば本物になるのか。先日、一本のテレビ番組を見て、その答えのヒントは「感動の正体」にあると、あらためて気づかされました。


テレビの屋上で起きた「感動」の正体

先日、「学校へ行こう」という番組を見ました。学生が校舎の屋上に立ち、全校生徒に向かって、自分の思いを大きな声で叫ぶ、あの企画です。懐かしさもあって、思わず見入ってしまいました。

ある男の子が、全校生徒の視線を浴びながら、好きな人へ全力で気持ちを伝えていました。声は震えていて、言葉も決して上手ではありません。でも、その姿を見ていた多くの生徒が心を動かされ、彼を応援する空気が、校庭いっぱいに広がっていったのです。

冷静に考えれば、彼は特別なことをしたわけではありません。流暢でもなければ、演出が巧みなわけでもない。それでも人は感動した。なぜでしょうか。理由はひとつだと思います。彼が、自分の正直な気持ちを、本気でその場にさらけ出したからです。技術ではなく、本気と正直さに、人は心を動かされる。私たちが組織開発の現場で何度も目にしてきた光景と、それは同じでした。

関係の質が高まると、人は本気で正直になる

ただし、誰もが、いつでも、あの男の子のようになれるわけではありません。むしろ多くの職場では逆です。「こんなことを言ったら浮くかもしれない」「否定されるのが怖い」。そうやって本音は飲み込まれ、当たり障りのないやり取りだけが残っていきます。

人が本気で正直になれるかどうかは、本人の勇気だけの問題ではありません。その場の「関係の質」に大きく左右されます。ここで何を言っても受け止めてもらえる、否定されない、という安心がある場でこそ、人は初めて自分の正直な気持ちを差し出せる。組織づくりでよく語られる成功循環モデルも、出発点を「関係の質」に置いています。成果を急いで結果ばかり追うと空回りするけれど、まず関係の質が高まると、考え方が変わり、行動が変わり、結果として成果に結びつく、という考え方です。屋上の彼を支えたのも、見守る生徒たちとの間にあった、その場の安心感だったのだと思います。

「すごい仕掛け」ではなく「正直になれる場」がチームを変える

私たちが体験学習型のチームビルディングを行うとき、最も大切にしているのは、派手なワークや盛り上がる仕掛けではありません。参加者が、少しずつでも本音を口にできる場をつくることです。

研修の前半、多くの参加者は様子をうかがっています。当たり障りのない発言が続きます。けれど、関係の質が少しずつほぐれていくと、ある瞬間、誰かが本当の気持ちを口にします。「実は、ずっとこのやり方に納得できていなかった」「本当は、もっとこのチームで力になりたかった」。その一言が出たとき、場の空気が変わります。周りのメンバーが、その人を本気で支援しようと身を乗り出す。私たちは、そういう瞬間に何度も立ち会ってきました。屋上の校庭で起きていたことと、構造はまったく同じです。仕掛けが人を変えるのではない。正直になれる場が、人の本気を引き出すのです。

ファシリテーターが磨くのは、技術より「器」

では、その「正直になれる場」は、何によって生まれるのか。進行の技術やワークの設計も、もちろん大切です。けれど、それ以上に問われるのは、場をつくる側の「在り方」だと、私たちは考えています。

参加者が本気でぶつかり、正直な気持ちを差し出すとき、それを受け止める側にも本気の覚悟が要ります。どんな言葉が出てきても、評価せず、決めつけず、ただその人に心から寄り添う。そういう在り方が場にあるからこそ、参加者は安心して一歩を踏み出せる。だから私たちは、何度この仕事をしても、毎回その場に合わせて、心から寄り添いたい、応援したいという気持ちになります。そして同時に、自分自身の「器」をもっと磨き続けたいと思わされる。技術は学べば身につきますが、人にどう向き合うかという在り方は、磨き続けるしかありません。これは、研修の場に限った話ではないはずです。チームをまとめるリーダーや管理職にも、同じことが言えるのだと思います。

まとめ

屋上の男の子が人の心を動かしたのは、上手だったからではなく、本気で正直だったからでした。そして人は、本気の人を、応援したくなる。これは職場のチームでも同じです。一体感や主体性は、派手な仕掛けからではなく、メンバーが正直になれる「関係の質」から生まれます。そしてその場を支えるのは、向き合う側の在り方です。

もし、あなたのチームが「悪くないけど、どこか他人事」だと感じるなら、足りないのは新しい施策ではなく、本音を出せる場なのかもしれません。私たちは、そういう場づくりを、体験を通じてお手伝いしています。チームの関係の質について一度立ち止まって考えてみたい方は、よければ私たちの取り組みをのぞいてみてください。

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